現在暮らしている集落へ単身移住してきたのが22歳の頃、地元の企業に勤めたのち独立、体験型民宿とジビエ解体施設を開業し現在に至ります。
“農家民宿ひがし”

“伊那谷ジビエ”
移住から20年経過したので現在42歳です。
この集落を離れて別の土地へ移住しようと考えています。
すぐに移住する訳ではありません。
最短で再来年(2年後)なので、民宿営業はこれまで通りです。
是非ご予約をご検討ください。
移住を検討している理由は、自分が求める姿とは違う方向へ集落の方針が進んでおり、年々居心地が悪くなっているからです。
宿のすぐ近くには工事で使う土砂を採取するための “土取り場” があり、その業者のダンプが頻繁に目の前を往復します。
宿の上には工事で発生した不要土砂を廃棄処分する “土捨て場” があり、こちらも頻繁に業者のダンプが目の前を往復します。
宿の下ではリニア新幹線のトンネル掘削で発生する残土を埋め立てる大規模工事がこれから始まります。
うちの宿、こういう状況に囲まれています。
2台や3台なら構わないですが、多い日は数十台のダンプが目の前を走ります。
自分自身、自然に囲まれた環境に憧れて田舎移住してきたので、このような環境がストレスだし、お客さんも自然や静かな環境を求めてお越しになるので、お客さんの滞在中に多くのダンプが往来すると本当に申し訳ない気持ちになります。
集落の会合などに出席するのは各家の家長ですが、移住してきた22歳の頃は当然私が一番年下、20年経過した現在でも私が一番年下です。
こういう山間集落は閉鎖的で窮屈なので若者は出て行くし、外からも入ってこないしで高齢化が激しいんです。
高齢化とともに年々人口が減っていき、このままだと集落が消滅するのが目に見えているので、移住者を積極的に受け入れることを考えて行くべきだと度々私は言っています。
だから移住者が魅力的に感じる集落作りが必要だと。
この集落で移住者は私一人だけです。
20年も暮らしているので、すっかり集落の一員ですが、これからの集落の方針を話し合う場になると、多数の地元住民と生意気な一人の移住者という構図になります。
数年前、リニア新幹線のトンネル掘削で発生する残土を集落で受け入れるかどうかの是非について臨時総会がありました。
この集落は全部で約50戸ですが、反対に手を挙げたのは私を含めて2名、残り全員賛成でした。
去年、民宿のトップシーズンである8月に連日、数分おきに “土取り場” の業者のダンプが往来したので頭にきて現場事務所に赴きクレームを言いました。
数年前もクレームを言ったのですが、その時は区の役員から「業者とは良好な関係をこれまで築いてきたんだから勝手にクレームを言うな」と怒られたので、去年は区長に電話して「頭に来たのでクレームを言いに行きます」と伝えてからクレームを言いに行きました。
区長が駆け付けて間に入ってくれました。
「毎日何十台ものダンプが宿の前を往来するけど、こっちが客商売やってるの知ってますよね?」
と言ったところ、
「そっちが商売始めるよりもこっちの方が先に “土取り場” やってんだよ」
と言われました。
つまり後から商売を始めたお前が我慢しろってことです。
外から来ている業者が地元住民のクレームにそういう言い方しますかね。
そんなこといったら100年以上前からうちはあの場所にあります。
先月の集落の総会、私は仕事で欠席したのですが、その “土取り場” の業者に感謝状を贈呈することが決まったそうです。
“協力金” という名目で毎年集落に対して30万円くれていますが、実質は生活道路をダンプが頻繁に走ることへの迷惑料です。
毎年30万円くれていることに対して感謝状を贈るようです。
集落の一員である私は迷惑を被っているということを明確に伝えています。
しかし集落としては業者を歓迎しています。
一人でここへ移住してきて、今でも移住者は私一人で、このままだと高齢化で集落が消滅してしまうからどうにか移住者にとって魅力的な集落になって欲しいと思って20年暮らしてきましたが、もうこの集落は難しいです。
向いている方向が昔の体質のまま。
日本の田舎は変わらないと消滅していくだけです。
昔ながらの体質、一番は閉鎖性を抑えて都市部の若者たちに開放していかないと閉鎖的な集落から順番に消滅していきます。
先程例に挙げたリニアトンネル残土を受け入れるかどうかの多数決、反対に二人しか手が挙がらないなんて、同調圧力、閉鎖性そのものですよ。
お年寄りばっかりで人口が減っていく一方。若者がいないから活気もないし。
私はずっとそれを言っています。
逃げていると思われるかもしれませんが、ある程度移住者が居て、自分が必要とされる場所で暮らしていきたいと思っています。