2020年12月22日

駆除したら食べる


日本中で行われている鹿の有害駆除。

現状、駆除された鹿の9割が廃棄処分されています。
その現状を変えたくて、駆除された鹿のお肉を食用に活用する活動を5年前から始めた訳ですが、なかなか思い通りに上手く進みません。

正式に食肉処理業の許可を取得して今年から始めた鹿肉販売事業、思った程、売れ行きが伸びていないです。
理由は分かっています。

ジビエ(野生動物)料理というのはお店で食すもの。
料理人が扱うもの。
↓これは以前テイクアウトのお弁当用に作った鹿のロースト(今はテイクアウトはやっていません)

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私はもともと一般家庭をターゲットにジビエ事業(鹿肉販売業)をスタートしました。
でも、プロの料理人ではない一般の方が家庭料理で鹿肉を扱う文化が日本にはまだ定着していません。

なので家庭でも手軽に作れる鹿肉料理のレシピを動画(YouTube)で投稿して販売促進を図る予定でした。

ジビエ(野生動物)を一般家庭の食材にすることが私の目的です。

豚や牛など脂の乗ったお肉と同じように調理すると失敗します。
鹿肉は脂が極めて少ない究極の赤身肉です。
ただ、ポイントさえ掴んで調理すれば簡単なんです。

自分の頭の中には、5年間鹿肉を扱ってきた蓄積があります。

それを発信したいのですが出来ていません。
動画(YouTube)の投稿が超苦手なんです。

撮る → 編集する → 投稿する

これが超面倒くさいんです!

でもやります。

まずは自分がこの流れに慣れなければなりません。

やりますけど、“投稿する” は簡単なんですけど、“撮る”、“編集する” が超大変なんです。
もう面倒くさい!

でもやりますから。

なぜなら、
やらないと伝わらない = 伝わらないと売れない = 売れないと鹿の廃棄処分は減らない

そうなってしまうからです。

日本の食文化に切り込もうとしているので、人生を賭けて挑むには十分過ぎるテーマだ。


先日、2頭の鹿を同じタイミングで引き取りました。

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鹿が罠に掛かったと連絡を受けて現場に駆け付け自分で止め刺しをしました(猟銃で撃ちました)。

ブログの中で何回も言っていますが、自分は本来、動物が好きです。
毎回、鹿を撃ちに行くのが嫌です。

“鹿が罠に掛かったから引き取りに来て” と連絡が入るたびに、心の中では “嫌だ” と思っています。
でも発する言葉では、“はい、行きます” と応えています。

自分が器用な人間なら、自分は撃たずに猟師さんたちが撃った後の鹿を引き取ることが出来るかもしれません。

でも自分にはそれが出来ないんです。

なぜかというと、卑怯だと思ってしまうんです。
命を絶つところから引き受けないとダメだと思ってしまうんです。

それは動物が本当に好きだからです。
目を逸らしてはいけない壮絶な光景が目の前にあります。

くくり罠に掛かった鹿に銃を持って近づくと、彼らも分かるんですよね。
必死で逃げようとします。
全身全霊のエネルギーを込めて “生きたい!!” と訴えてきます。
くくり罠に掛かった状態で逃げ回るので、あちこちの木や藪に衝突します。

“頼むからもう動かないでくれ” って泣きそうになりながら引き金に指を掛けます。

その光景を見ると責任が生まれるんです。
全て脳裏に焼き付いています。
猟師になる動機は色々とありますが、鹿を撃って楽しいと思ったことなんて自分は一度もありません。

今回、銃で撃った首とは別に、2か所、穴が空いていました。

必死で生きたくて、逃げたくて、木や藪に何度も衝突したんです。
衝突して倒れては立ち上がり、また逃げようとします。
※損傷した部分は内出血しているので食用には出来ません。周囲を切り取って廃棄処分となります。

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身体に穴を開けてまで “生きたい” と訴えてきた鹿を自分は撃ちました。
脳裏に焼き付いています。

どうやって責任を取れば許してくれるかな。

この子を美味しい肉にしても許してもらえないよな。

社会を変えないと、やっぱりダメなんじゃないかな。

“駆除したら食べる”

それが当たり前の社会を実現します。

posted by mibu at 00:45| Comment(2) | 日記